パナマ運河、そしてカナダも狙う?

 パナマ運河は、1900年代初頭にアメリカが建設し、1977年まで管理権を所有していた。その後、カーター政権下で、管理権がパナマに移行され始め、1999年に移行が完了した。トランプによれば、パナマ運河が中国に運営されている、運河を通航するアメリカの船舶に過剰な通航料を請求しているという。

 香港を拠点とするCKハチソン・ホールディングスは、運河の入り口の二つの港を管理しているので、トランプは、それを念頭に置いているのだろうが、パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、「中国は全く干渉していない」と反論している。

 さらに、トランプは、カナダを51番目の州としてアメリカに編入することや、メキシコ湾を「アメリカ湾」に改称することも提唱した。カナダやメキシコに対しては、11月に、トランプは、犯罪や麻薬の流入を理由に25%の関税を課す意向を示した。

 メキシコのシェインバウム大統領は、17世紀の古地図では、今のアメリカが「アメリカ・メヒカーナ(メキシコのアメリカ)」と表記されていると述べ、北米を「メキシカン・アメリカ」と呼ぼうかと皮肉った。

 物価高や住宅不足など、支持率が低迷するカナダのトルドー首相は、辞任の意向を1月6日に表明したが、トランプは、関税をめぐる自分の圧力が辞任の原因となったと述べている。この問題に対するトルドーの対応に不満を抱いたフリーランド副首相兼財務相は辞任したが、それが首相辞任の引き金となったとされている。

辞任を表明したカナダのトルドー首相とトランプ氏=2017年10月撮影(写真:AP/アフロ)
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 トルドー辞任表明を受けて、トランプは、「カナダの人の多くは51番目の州になることを大いに歓迎している。アメリカはもはやカナダを維持させるために必要な巨額の貿易赤字と補助金に苦しむことはできない。トルドー氏はそれを理解しているから、辞任するのだ」とSNSに投稿し、カナダがアメリカに編入されれば、関税は無くなると強調した。