吸い寄せられるように色街を撮っていたのはなぜ?
──たまたま写真を撮った場所が、そういうところだったということですか?
紅子:そうです。どこか寂しげなちょっと空気の違う場所、それはかつて自分がいた場所でした。
そういう場所にはそれぞれ歴史がある。であれば、その土地と歴史というテーマで表現活動ができるのではないかと考えたのです。過去を後悔しても時間は戻らないけれど、歴史として伝えることで、違った形で自分の過去を取り戻せるのではないかと思いました。
同時にYouTubeも始め、自分の過去についても動画の中で語り始めました。最初は「過去を語るなんて頭がおかしい」「母親としてどういう気持ちなのだ」など、批判的なコメントがたくさんきました。
──傷つきますね。
紅子:本当にグサっときましたが、それ以上に応援してくださる方々の声もたくさんいただきました。中には私がやっている写真や、YouTubeで配信している動画について、「あなたはこれを表現としてやっていますよね」と深く理解を示してくださる方もいました。
──4月に『紅子の色街探訪記』の第2弾が出るそうですね。
紅子:まさか、こんなに早く2冊目を作る機会が与えられるとは思いませんでした。
1冊目を出した後に、漠然とではありますが、吉原遊郭跡にある遊郭専門店、カストリ書房から、いつか遊郭の写真集が出せたらいいなと思っていました。そうしたら、店主の渡辺豪さんから「うちから出しませんか」とオファーをいただいたんです。