企業は2流、政治は4流

 かつてサムスングループの会長だった李健煕(イ・ゴンヒ)氏は、「韓国は企業は2流、官僚と業績組織は3流、政治は4流だ」と語ったことがある。

 1995年、民主化からまだ10年も経っていないときのことだ。

 政治や業績に対する不満とともに、企業こそが韓国を支えるのだという強い自負心から出た発言だった。

 いま、李健煕会長が健在だったら、韓国政治の混乱ぶりを嘆きながらも、経営者としてさらに大奮闘したかもしれない。

 この発言から30年、民主化の道を順調に歩んできた韓国で、とんでもない事態が起きてしまった。

 企業は30年間で2流から1流になったはずでなかったのか。いまこそ、やはり頼りは民間だが、いまのところ企業、経営者は沈黙したままだ。