サムスンと中国が支えた
サムスンの輸出額、時価総額などは、韓国経済の2割を占めるほどになった。さらにこの時期、中国向け輸出が好調だった。
朴槿恵氏が弾劾された直後の2017年と2018年に韓国は中国相手に年間400億~500億ドル以上もの「貿易黒字」を稼いでいた。
ところが、2023年には貿易赤字に転落してしまった。中国特需は終わったのだ。
「サムスン、SK、ロッテ、ポスコ・・・韓国経済の屋台骨を支える財閥だが、ほとんど全滅状態だ。辛うじて現代自動車グループが善戦しているくらいかな」
大手財閥グループ会社の社長は、こう嘆く。
過去20年間、韓国企業にとって「稼がせてもらう市場」だった中国の景気後退が深刻だ。
それどころか、石油化学や鉄鋼といった韓国の主力業種が、中国企業の攻勢に押されている。
最先端分野でも異変が起きている。
韓国産業界の圧倒的な4番打者だったサムスン電子に黄信号が点灯している。
最先端の半導体メモリー「HBM」が最大の需要家である米エヌビディアの納入検査を通過できないのだ。
SKハイニックスに1年以上遅れてしまった。
汎用品メモリー市場では中国企業がじわじわと存在感を高めている。
LGとSKは、「次の稼ぎ頭」と期待した自動車用バッテリーの需要が伸び悩んでいる。
巨額の投資で先行しようとしたが、世界的なEV(電気自動車)需要の鈍化で裏目に出てしまった。
悪循環とはこのことか。
オーナー経営者は、事業売却や業績が悪くなったグループ企業の専門経営者更迭を繰り返し、ますます求心力を失っている。