深刻な内需不振

 内需は悲惨だ。

 企業業績の悪化で所得が伸びない。物価はかなり落ち着いたものの、上昇が止まらない。百貨店、スーパー、飲食業の売り上げが鈍化したままだ。

 統計庁によると小売販売額の前年同期比増減率は、2022年4~6月期から2024年7~9月期まで10四半期連続でマイナスを記録中だ。

 一方で、ソウルのアパート価格は高止まりしてさらに上昇気味。家計負債は増え続け、これがまた消費に悪影響を与えている。

 ソウルを少し離れると不動産価格は下落している。地方に行くと、売れない物件が増え続けている。

 建設投資も設備投資も不振だ。これでは経済が成長するわけがない。

経済成長率相次ぐ引き下げ

 最近1か月の間だけでも、官民問わず韓国の経済成長率見通しの下方修正が相次いだ。

 韓国銀行(中央銀行)は11月28日、2024年と2025年の経済成長率見通しをそれぞれ2.2%と1.9%とした。

 8月末時点の見通しを0.2ポイントずつ下方修正した。

 2025年の経済成長率見通しを1.6%に引き下げた米国系金融機関も出てきた。内需に加えて成長の要だった「輸出」にも陰りが出てきたのだ。

 2023年以降、韓国の輸出が回復軌道に乗り、経済の牽引役になってきた。半導体、自動車などが主力で、米国向けなどが伸びた。

 産業通商資源部によると、輸出の前年同月比伸び率は2024年1月に18%を記録して回復が鮮明となった。

 その後、4月、5月、7月、8月にも前年同月比で2けたの伸び率となり経済を引っ張った。

 ところが、9月7%、10月5%となり、11月には1.4%にまで下がってしまった。