八村選手の批判への対応が遅れたのはなぜ?
八村選手が、出場するつもりがない強化試合での欠場発表が遅れたことで、試合を楽しみにしていたファンの失望につながり、批判の矛先が自らにも向いたと考えるのは自然だろう。協会側は20日の取材対応で、入場券は即日完売しており、「商業目的で(欠場発表を)引っ張った意図はなかった」と釈明した。
一方で、「可能なら出ていただけるんじゃないかなと希望的観測があった」と本音ものぞかせる。コアなバスケファンはともかく、ライト層からの注目度を考えると、八村選手の出場可否は大きく影響するだろう。チケットが完売していても、八村選手が出場しないことが発表されているのと、いないのとでは大会前のメディアの扱いなども変わってくる。
協会が欠場の発表を当日までずらしたのは、チケット販売とは関係なくても、スポンサーや放映するテレビ局への配慮という「商業目的」の面は否めないだろう。
実際、パリ五輪前の強化試合を世界ランキング50位でパリ五輪の出場権のない韓国と日本国内で行ったことには、渡辺氏も「日本で試合をすることでメディアを含めて露出を増やし、我々も活動の原資もしっかり稼がなくてはいけない」とスポンサー収入などへの理解を求めた。
日本バスケ界には、苦い過去がある。
2006年に開催した世界選手権(現ワールドカップ)で約13億円の赤字を計上し、大混乱を招いた。この問題に端を発し、プロサッカー、Jリーグのような地域密着を掲げてプロ化した「bjリーグ」と、実業団主体のリーグとの分裂状態が長らく続いた。
東京五輪を前に、国際競技団体(FIBA)から事態の解決を迫られ、2016年秋にようやく2つのリーグを統合した「Bリーグ」が誕生した。国内のプロリーグとしては野球、サッカーに次ぐものだ。
間もなくして、八村選手がNBAで活躍するようになると、バスケ界への注目度が大幅にアップ。2023年夏には、フィリピン、インドネシアと男子のワールドカップ(W杯)を共催し、国内人気の高まりに大きく寄与した。代表も、開催国枠で出場した東京五輪に続き、パリ五輪では48年ぶりに自力で出場権を獲得するなど、レベルが底上げされた。
お膝元のBリーグは現在、クラブもリーグも経営が好調だ。