どうしても目立つ「従業員の負担が重くなる」打ち手
では、中小製造業は人手不足にどうやって対処しているのか。当研究所「中小企業の雇用・賃金に関する調査(2023年10-12月期特別調査)」の結果を紹介したい。
人手不足への対応をみると、「従業員の多能工化」と回答した企業の割合が45.5%と最も高く、次いで「残業を増加」(37.0%)、「業務の一部を外注化」(31.2%)などが続く(図-2)。
上位2項目は、既存の経営資源を活用するものであるが、従業員の負担は重くなる一方である。また、外注先も人手不足に直面しているとみるのが自然であり、業務の外注が人手不足の根本的な解決になるとは考えにくい。
「業務プロセス改善による効率化」(22.1%)も重要な取り組みであるが、すでに多くの中小製造業が日常的に取り組んでいると考えられる。効率化によって人手不足を解決するには、思い切った経営判断が必要になると考えられる。
そこで、本連載で注目するのは「設備導入による省力化」(21.9%)である。省力化とは、従前と同等またはそれ以上の付加価値を産出するために投入する労働量を減少させることを指す。省力化投資は、設備投資によって新たな経営資源を獲得し人手不足に対応していくものである。