同時通訳のイヤホンもつけず…

 両首脳にとって3回目となる首脳会談。約1時間40分に及ぶ会談で、習近平主席が冒頭の言葉を述べ始めた時、バイデン大統領は、ただボーッと聞いていた。もはや気分は上の空だったのかもしれない。それで習主席が、「同時通訳のイヤホンをつけないんですか?」と問うている。

バイデン大統領(写真:ロイター/アフロ)
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 そうしたらようやく気づいて、慌ててイヤホンを耳に当てた。その時、バツが悪いと思ったのか、「私は中国語を勉強したんだ」とつまらないジョークを言っている。

 習主席が笑ったのは、おそらくその時くらいで、「今日は私から先に話す」と前置きして、すぐに長広舌を述べ始めた。

「過去4年の経験を総括し、啓示を導き出すと、少なくとも次のようなことが言えるだろう。

 第一に、正確な戦略の認知があった。『トゥキディデスの罠』(大国同士が紛争になりやすいたとえ)は歴史の宿命ではない。『新冷戦』は起こしてはいけないし、起こしても勝利できない。

 第二に、言ったからには約束を守り、行なう以上はやり遂げる。人は信なくして立たずだ。中国は常に言行一致だった。もしもアメリカが言行不一致なら、アメリカのイメージは悪化し、相互の信頼を損ねることにもなる。