「トランプ大統領に脱炭素技術に目を向けるよう促したい」
一次ポリマー生産に1トン当たり60~90ドル(ポリマー価格の約5~7%)を課すと、年間250億~350億ドルの税収が見込まれるとの試算もある。国際環境団体グリーンピース・ジャパンのシニア政策渉外担当、小池宏隆氏は「日本もプラスチック生産規制に賛同すべきだ」という。
「国際課税タスクフォース」には共同議長国のバルバドス、フランス、ケニア3カ国のほかアンティグア・バーブーダ、コロンビア、デンマーク、マーシャル諸島、セネガル、スペインがメンバーに加わる。IMF、世界銀行、国連、G20なども主要パートナーだ。
バルバドスのモトリー首相はCOP29で「課税を検討する時が来た」と述べ、気候変動と闘う途上国を支援する気候資金を調達するため世界的な課税措置を実施する必要性を強調した。モトリー首相はこれまでにも金融取引税や化石燃料利益税、海運業税を提唱している。
エリザベス英女王を君主に仰ぐのをやめ、共和制への移行を主導したモトリー首相は英紙ガーディアンのインタビューで「トランプ大統領がコロナワクチン開発に取り組んだのと同じワープスピードで脱炭素技術に目を向けるよう促したい」と1対1の対話を呼びかけている。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。