暗号資産は匿名で把握するのが難しい

 暗号通貨への課税手段は金融取引税や電力使用に対する課税などの選択肢がある。IMFによると、暗号通貨取引に課税すれば税収は年間数百億ドルにのぼる可能性がある。0.1%の金融取引税なら158億ドル、20%のキャピタルゲイン税なら3230億ドル(好況年)の税収が期待できる。

 暗号通貨の採掘者の電力使用量に1キロワット時当たり0.045ドルを課税すれば、暗号通貨採掘のための二酸化炭素排出量を約45%削減し、世界全体で52億ドルの税収を得ることができるという。しかし、多くの暗号資産が匿名で、実態を把握するのが難しいという課題も残る。

 報告書は超富裕層への課税も提案している。今年、20カ国・地域(G20)の財務相は議長国ブラジルの後押しで初めて超富裕層への低税率課税について協議した。仏経済学者ガブリエル・ズックマン氏は現代の税制がいかに超富裕層への課税に失敗しているかを説く。

 ブラジル政府の依頼でそのズックマン氏がまとめた報告書「超富裕層に対する協調的な最低課税の青写真」のベースラインシナリオは世界3000人の超富裕層に対する最低税率を資産の2%とし、約2500億ドルの税収を生み出そうというものだ。