2019年12月8日、カペラステークス(G3)、コパノキッキングで優勝し、日本女性騎手として史上初となるJRA重賞制覇した藤田菜七子(右)と、小林祥晃オーナー 写真/伊藤 康夫/アフロ

(堀井 六郎:昭和歌謡研究家)

昭和歌謡研究家・堀井六郎氏はスポーツライターとしての顔もあります。とくに競馬は1970年から今日まで、名馬の名勝負を見つめ続けてきました。堀井氏が語る名馬伝説の連載です。

ミカエル・ミシェル来日とJRAの女性騎手たち

 フランスを代表する女性騎手、ミカエル・ミシェル騎手が今年も10月に来日しました。2度目の参戦になりますが、昨年同様、大井競馬場の山崎裕也厩舎に所属し、12月20日まで南関東公営競馬場(大井、船橋、川崎、浦和の4か所)中心に騎乗します。

 コロナ禍もあり、彼女としては4年ぶりの騎乗となり、前回2020年の短期免許では267戦30勝を挙げ、南関東公営競馬の短期免許期間における勝利数歴代1位を記録しています。

 騎乗数や勝鞍は少ないながらも、レースに華やかさをもたらすことのできる存在で、今年もミシェル・スマイルでファンを楽しませてくれることを期待します。何といっても母国フランスにおける女性騎手年間最多勝記録(72勝)を保持するトップジョッキーなのですから。

 ミシェル来日と時を経ずして、競馬ファンにとって切ないニュースが発表されました。JRAの女性ジョッキーを牽引してきた藤田菜七子騎手の引退発表です。

 藤田登場以前にもJRAには女性騎手が6人在籍していました。

 フジテレビ系『みんなのKEIBA』でおなじみの細江純子は1996年にデビュー(JRA通算勝利数14勝)、同期生に牧原由貴子(同34勝)、田村真来(同9勝)がいます。

 翌1997年には板倉真由子(1勝)と押田純子(2勝)もデビュー、成績は今一つでしたが、この期間は女性騎手が5人在籍していたわけで、なんとなくではありましたが、女性ファンも増えたような気がしました。かつては鉄火場の雰囲気も漂っていた競馬場の雰囲気に、女性騎手の登場でささやかながら華やかさが持ち込まれたように感じられたものです。

 あいにく前記の女性騎手たちは目立った成績が挙げられず、大きなレースに騎乗することもほとんどなく、短い年数で引退していきました(牧原のみ18年の長期在籍。ただし、後半9年間は勝利なし)。