男女の斤量差と今後

 男女が同じ場所、同じ土俵で勝ち負けを争う勝負事がスポーツの世界ではほとんどない中、競馬は特殊な分野と言えます。まして、その勝ち負けが観衆のフトコロと直結するのですから、騎手へのプレッシャーは相当なものがあるでしょう。

 本来なら男女による違いを意識しないことが理想の姿でしょうが、ギャンブルという側面を持つこともあり、藤田菜七子デビューの3年後の2019年3月、JRAはレース騎乗時の負担重量(騎手自身の体重、馬具、重りなどの合計のキロ数。斤量とも言います)に関するルールを変更しました。

 それまで男女一律だった競走馬が背負う斤量を男性騎手より女性騎手は2キロ軽くするという特典ルールを設定したのです(大きなレースは除きます)。

 競馬の場合、優れた腕を持つ女性騎手でもゴール前の最期の追い比べになると腕力の違いで男性騎手にはかなわないとされることからの配慮です。賛否両論あるかと思いますが、肉体的な違いによる特典ということです。

 できれば、近い将来、米国のように男女共に同じ斤量で戦えるようになるのが理想かとも思います。1キロ軽くなれば1馬身の違いが出ると言われる斤量の差がレース結果の言い訳とならないためにも、男性騎手を凌ぐような実力を持った女性ジョッキーの出現が待たれます。

 ご参考までに、現在、競輪(自転車)では男女の力量に大きな差があるため男女混合レースは行なわれていません。競艇(モーターボート)の場合は同じ条件で男女混合レースが行なわれています。

(編集協力:春燈社 小西眞由美)