「みんな『裏金』議員だと誤解された」
「不祥事もあったが、謙虚で誠実な自民党でありたい」「困っている人、苦しい人のための政治を行う」
選挙戦最終日の10月26日、石破茂首相の東京都内での演説の一節である。「不祥事」とは昨年から明るみに出た自民党派閥による政治資金収支報告書の不記載問題(いわゆる裏金問題)のことなのは言うまでもない。
自民党は多数の衆参両院議員に処分を断行したものの、衆院選では「もう一度、同じ内容をおさらいするかのように争点にされてしまった」(与党筋)。衆院選直前の9月に行われた党総裁選による「追い風」は、瞬く間に「大逆風」に変わり、かくして自民党の議席は大幅に減ったわけである。
自民党の前職議員の一人は、公示直後に「自民党議員はみんな『裏金』をつくっていると誤解している有権者が非常に多いことが分かった」と頭を抱えた。自身は不記載が全くなかったことが分かる内容を配布用印刷物に書き込んだという。
別の若手前職は一貫して無派閥であることと、不記載や「裏金」には手を染めていないとする趣旨を配布物に明記した。