全米小売業協会のイベントでスピーチするグーグルのサンダー・ピチャイCEO(1月11日、写真:ロイター/アフロ)
目次

 2026年2月中旬、米グーグルが発表した一連の施策は、AIとの対話を通じて商品購入を完結させる「エージェンティック・コマース」の実装を象徴するものとなった。

 同社は生成AI「Gemini(ジェミニ)」や検索サービスの「AIモード」において、外部サイトへ遷移せずに直接購入を完結できる仕組みを米国内で開始した

対話から「直接購入」へ、共通規格UCPの実装

 この取り組みの核となるのは、2026年1月に提唱された共通規格「ユニバーサル・コマース・プロトコル(UCP)」の実装である。UCPはAIエージェントと小売業者のシステムをつなぐ「共通言語」として機能する。

 まずはハンドメイド製品EC(電子商取引)サイトの米エッツィーや家具ECサイトの米ウェイフェアが対応し、今後は米小売り大手ウォルマートやカナダのEC構築支援ショッピファイなども加わる予定だ。

購買の「玄関口」奪還と専用チップによるコスト優位性

 グーグルがこの時期に実装を急いだ背景には、競合する米オープンAIへの対抗意識がある。

 オープンAIは2025年秋に米決済基盤大手ストライプと提携し、対話型AI内での直接購買を可能にするプロトコルを公開していた。

 グーグルは自社の圧倒的な検索シェアを背景に、UCPを業界標準へと押し上げることで、AI時代の購買の「玄関口」を奪還する狙いがある。

 加えて、同社の攻勢を支えるのが、自社製AI半導体「TPU」によるコスト優位性である。

 最新チップ「Ironwood(アイアンウッド)」を用いることで、膨大な商品データをAIが処理する際の演算コストを低減させている。

 これにより、提携する小売業者の参入障壁を下げ、エコシステムの拡大を容易にしている点も大きな特徴といえる。