広告モデルの変容、クリックから意思決定の直接支援へ
広告モデルも変容を遂げている。米ブルームバーグ通信によれば、テック各社は巨額のAIインフラ投資を回収するため、対話型AIを通じた収益化を急いでいる。
グーグルは「Direct Offers(ダイレクト・オファー)」と呼ばれる新手法を導入した。これはAIとの対話を通じてユーザーの購買意欲が高まった瞬間に、限定的な割引や特典を提示する仕組みだ。
従来のクリック型広告とは異なり、消費者の意思決定を直接後押しする動的なマッチングの実現を目指している。
小売業者の「バックエンド化」への警戒とブランドの希薄化
利便性が向上する一方で、小売業者側には複雑な思惑が交錯する。
ウォルマートなどの大手はグーグルと提携する一方で、オープンAIとも同様の協力関係にある。
特定のプラットフォームに依存せず、複数のAIエージェントを受け入れることで、自社が単なる「商品供給元」に転落することを防ぎ、顧客との接点を死守する戦略だ。
小売業界が特に警戒しているのは、AIとのやり取りのみで購入が完結することで、自社ブランドの独自性が薄れるリスクである。
グーグルは小売業者が「販売主体(Merchant of Record)」として顧客関係を維持できる仕組みを強調し、提携を促している。
しかし、消費者の関心がAIの回答のみに向かえば、顧客ロイヤルティー(ブランド忠誠心)は希薄化しかねない。