超人的なパワーを見せつけたバース、小さな体で勝負強いクラッチヒッターとしてけなげな活躍を見せた掛布雅之、そして地元大阪の代表選手の岡田彰布。とりわけ岡田は、4年間、東京の水を飲んだにもかかわらず「べたべたの大阪弁が全く抜けない」のが好感を呼んだ。同じ大阪出身でも、巨人の高田繁や桑田真澄は、うっすらと関西訛りは残るものの、標準語で受け答えをした。大阪人は「何、ええかっこしてんねん」と思ったが、岡田は終始「ちゃうがな、自分、何言うてんねんな」ともっちゃりした語り口のままだった。それが大阪人の圧倒的な支持を得た。

 結局、岡田は打撃タイトルは1つもとらず、ベストナインも1回だけと、あれほど騒がれた割には、あっさりした成績に終わった。それも「ええしのぼん」らしい「ほどの良さ」だったのかもしれない。

 オリックスに移籍して引退してからは、解説者のかたわら、阪神、オリックスの監督を歴任。

第1次阪神監督時代の2005年、2年ぶりのリーグ優勝を決め、ファンの声援に応える阪神・岡田監督(写真:共同通信社)
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 解説者としても経験を積んだのち、岡田は2023年、阪神に15年ぶりに監督として復帰した。

岡田監督の談話、一字一句がそのまま紙面に

 異様だったのは、阪神の番記者たちだった。他球団の番記者なら、監督の言葉は「もっと頑張らないとダメだね」とか「サマリー(まとめ)」を記事にしたが、岡田番の記者は、岡田の発言を一字一句まで記事にした。このため、スポーツ紙には異様な言語が並ぶようになった。

 以下は昨年のスポーツ紙から。

報知新聞
「そうや。うん、まあ、当然、近本から走るケースやで。まあ敬遠はちょっと予想してなかったけどなあ、おーん」

日刊スポーツ
「まあ、でも結局ストライクなあ、そらなあ、ピッチャーによってだいぶ違うからのお。そら何とか今日なんかやろうとそら思てるけど、そらなあ。でもなあ、ストライクが来んかったらどうしようもないよな、おーん」

デイリースポーツ
「いやいや、まあ、うーん、まだね、おーん、たくさん試合が残っているんですけど、あと来週でね、交流戦になるんで、セ・リーグ相手に最後になるんで、先発ピッチャーは交流戦まで最後の登板になるんですけど、良い形でね、まず区切りの交流戦までということで」

スポーツニッポン
「劇的な3連戦?おーん。まあでも、別に変わったこともやってないしな。ちゃんと逆転されたり、そんなんもあるわけやからな」