ファウンドリーでも苦戦

 ファウンドリー事業でも苦戦してる。

 台湾のTSMCの追撃を狙ってファウンドリー事業強化に乗り出したが、これもうまくいかない。

 韓国メディアによるとファウンドリー市場でのサムスン電子の世界シェアは2023年の12%から2024年にはさらに下落したという。

 60%を超えるTSMCとの格差は拡大する一方だという。先の韓国紙デスクはこう指摘する。

「HBMもファウンドリーも顧客企業が要求する水準の品質の製品を安定的に量産できない。競合他社にはできることが、サムスンにできないというのは深刻だ」

「サムスン電子の業績を過去20年以上牽引してきたのは半導体部門での技術的な強さだった。これが崩れつつあるのではないかという懸念が昨年来強まっているが、今回の決算でこれがいよいよ現実になった」

 決算発表と同時に「謝罪声明」を出したのは、半導体部門の責任者である全永炫(チョン・ヨンヒョン=1960年生)副会長だ。

 全永炫氏は韓国のKAIST(科学技術院)で博士号を取得したのち、LGグループの半導体部門入りした。

 その後、LGグループの半導体部門を合併した現代電子産業(その後のSKハイニックス)を経て、2000年にサムスン電子に転じた。

 設計チーム長、DRAM開発室長、メモリー事業部長など要職を次々と務めた後、2017年にサムスンSDIの代表理事に就任してバッテリー事業を立て直した。そのまま同社副会長に就任していた。

 突然、サムスン電子の半導体部門トップになったのは2024年5月。

 HBM開発プロジェクトなどが不振で、急遽、立て直しのために呼び戻されたのだ。