「対等な日米同盟関係」を提唱してきた石破氏のアプローチ

 日米関係の見直しも重要なテーマであり困難な課題である。

 総裁選では「アジア版NATO」の創設を掲げた。日米同盟や米韓同盟などの枠組みを「有機的に結合することを考えていくべきだ」としているが、現実論としてどこまで実効性があるのか。

 日米同盟を巡っては、沖縄県の基地負担軽減のため日米地位協定の見直しに言及した。正論ではあるが、果たして米側がどう受け止めるか。来年1月に発足する米新政権の出方に注目だ。

 繰り返しになるが、政権基盤の脆弱さを党役員、閣僚人事で補った中曽根元首相は、レーガン元大統領との親密な関係(ロンヤス)を構築することで、日米関係の盤石化を図った。「対等な日米同盟関係」を提唱してきた石破首相は今後米国側にどうアプローチしてくのか。

 総理大臣になったら何をやろうか。長いこと総理総裁を目指してきた石破氏には確固たる信念とビジョンがあるものと思われる。保守の良識を示し、日本再生に向けた一石を投じていただきたいものである。

【山田 稔(やまだ・みのる)】
ジャーナリスト。1960年長野県生まれ。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。主に経済、社会、地方関連記事を執筆している。著書は『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』『分煙社会のススメ。』など。最新刊に『60歳からの山と温泉』がある。東洋経済オンラインアワード2021ソーシャルインパクト賞受賞。