「ご祝儀相場」の解散総選挙も予断を許さない

 そんな苦労人の石破氏は総裁選出後、いち早く組閣人事を固めた。党内基盤が弱く、総裁選では最後に「麻生(太郎氏)詣で」までせざるを得なかった石破氏が、どれだけ新体制で独自色を発揮できるか。総裁選で世話になった岸田文雄首相や菅義偉前首相の影響力にどう対抗していくのか。安倍派をはじめとする裏金議員の公認問題も厄介だ。

 党の要職人事では、麻生氏を党の最高顧問、菅氏を副総裁に起用するほか、4役に森山裕幹事長、鈴木俊一総務会長、小野寺五典政調会長、小泉進次郎選挙対策委員長を内定させ、総務会長は高市氏が固辞したと伝えられている。

自民党幹事長への起用が報じられている森山裕総務会長政権の骨格となる党幹事長への起用が報じられている森山裕総務会長(写真:共同通信社)

 内閣では林芳正官房長官の続投、財務相は加藤勝信氏といずれも総裁選を争った候補者を起用する方針だ。斉藤鉄夫国土交通大臣の続投も内定しているが、なぜ、国交相は公明党枠なのか。ここも明快な説明をしてほしいものである。

「党役員人事、組閣を通じて自民党の旧態依然とした体質を本当に断ち切れるのか。旧岸田派議員を官房長官や政調会長に起用することで、党内に影響力のある岸田氏や菅氏のキングメーカー気取りを許したら、党刷新・改革への期待感が瞬く間に失せ、失望感が広がっていく」(メディア関係者)

岸田文雄首相と菅義偉前首相岸田文雄首相(右)と菅義偉前首相は今後もキングメーカーとして暗躍するのか(写真:共同通信社)

 10月27日の投開票を軸に最終調整されている解散総選挙。新政権のご祝儀相場の下で行われることになるが、旧統一教会問題や裏金問題で自民党への逆風はかつてなく強まっており、予断を許さない。

 選挙となれば自民党内の公認問題だけにとどまらず、野田佳彦元首相(67)が代表となった立憲民主党が政権交代に向けてどんな手を打ってくるかも大きなポイントだ。石破新政権が初の総選挙で何を国民、有権者に訴えかけ、どんな公認候補を揃えるのか。対応を間違えれば、一気に支持率を失いかねない。