ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト両紙は、トランプ陣営に渦巻いているトランプ氏の「疲れ」「苛立ち」「焦り」、そしてトランプ氏をこれまで支えてきたトランピズム(トランプ主義)の信奉者たちの「憂慮」「諦め」「投げやり」を感じ取っていたというのである。

 トランプ陣営の近況について、両紙は以下の点を指摘している。

一、従来からの朝令暮改、事実誤認に加えて高齢による認知症からくる(?)遊説先やインタビューでの支離滅裂な発言や言動。

二、これも高齢からくる遊説回数の激減。2016年の大統領選の時は夏78回だった遊説は今回は24回。

 テレビ、ラジオ、ポッドキャストのインタビューも大半はマール・ア・ラーゴで済ませている。

政治献金集めの沈滞で節約を余儀なくされていることも要因の一つと見られる)

三、トランプ氏とMAGA有力メンバー(一部の上下両院議員・知事、政策ブレーン集団、大企業献金者)とは、共和党政権の基本政策綱領「プロジェクト2025」を巡って食い違いが露呈、収拾がつかなくなっている。

 このため、トランプ選挙対策本部は主要ポスト人事交代を行った1

*1=トランプ氏は8月15日、2016年の大統領選で選挙対策本部長だったコーリー・レワンドウスキー氏を呼び戻し、2020年の時のコミュニケーション部長だったティム・マータ氏を復帰させている。スージー・ワイルズ、クリス・ラシビンタ共同選対本部長らとの距離を置き、イエスマンを取り巻きに集めたものとみられる。