戦車や艦船の鉄はどこから調達するのか

 第1の支離滅裂について、トランプ氏は9月23日、日本製鉄のUSスチール買収計画について激戦州の一つ、ペンシルベニア州インディアナ市で次のように述べている。宗教保守エバンジェリカルズが聴衆の多数を占めていた。

(同市にはUSスチールの本社がある。ハリス、トランプ両氏とも労組票を取り込もうと日鉄の買収には猛反発している)

「クリスチャンの諸君、我々はクリスチャンの票が必要だ。皆、日曜日には教会に行く。皆、教会を愛している。素晴らしいことだ」

「クリスチャンの諸君、ぜひ私に投票してほしい。我々は銃を所有すべきだ。もし銃所有者が全員揃って投票すれば、我々は負けない」

「また我々は、米国のこの地にあるUSスチールを守り抜く。我々は団結して強くあらねばならない」

「外国からやって来る略奪者どもには関税を課さねばならない。そうすれば、奴らは我々の鉄鋼産業を破壊できない」

「我々は我々の鉄鋼産業を守り抜く。鉄鋼を製造し続けるのだ。もし戦争になったら、我々は出かけて行って戦う。その時、中国に鉄鋼を提供してください、とでも言うのか。冗談じゃない」

「もし我が軍隊が鉄鋼を必要とする際に、鉄鋼産業がなかったら、戦車や艦船に必要な鉄鋼はどこから集めるのか」

「Make U/S/ Steel Great Again(米国の鉄鋼を再び偉大に)だ」

 日鉄のUSスチールがなぜ戦争と結びつくのか、どうもその辺の理論構成が理解しにくい。

 世界の鉄鋼会社10傑のうち中国勢はトップの宝鋼集団以下6社が占めている。それ以外は、2位がルクセンブルクのアルセロールミッタル、4位に日鉄など。

 USスチールは16位という現状を見れば、トランプ氏の日鉄憎しというのも分からぬわけではない。

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