米FRBの利下げを米株式市場は好感しているが…(写真:AP/アフロ)

NYダウ工業株30種平均が連日、最高値を更新している。だが、中長期的にみると米国経済には避け難い影が忍び寄っている。それが少子高齢化の問題だ。NISAではS&Pなど米株式指数に連動する投資信託が人気だが、米国株投資のうまみはこの先、減っていく可能性がある。米国はもはや「老いる国」、過度な期待は禁物だ。

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米株式市場でダウ工業株30種平均は9月19日、史上初めて4万2000ドルを超えた。その後も連日のように史上最高値を更新している。米連邦準備理事会(FRB)が18日に大幅な利下げ(0.5ポイント)をしたことを好感。市場で主力株に買いが広がっている。

「利下げが米景気のソフトランディング(軟着陸)につながる」との楽観論から、日本を始め世界の株式市場も好調だ。だが、「バブルの芽が膨らんでいるのではないか」と警戒するアナリストも少なからずいる。

NYダウの推移(グラフ:共同通信社)
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 それ以上に懸念されているのはインフレの再燃だ。

 FRBの大幅利下げは僅差の決定だったようだ。

 FRBのボウマン理事は20日「インフレ懸念から大幅利下げに反対した」ことを明らかにした。理事の反対表明は2005年以来の出来事だ。

 米S&Pグローバルが23日に発表した9月の米総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)によれば、モノやサービスの平均販売価格は3月以来の高水準となり、今後数ヶ月でインフレが加速する可能性が指摘されている。

 FRBの大幅利下げは「労働市場軟化のリスクが高まる中、経済の健全なバランスを維持することが目的だった」とされているが、これとは全く異なる見通しがある。