迫りくる労働者の減少、AIも代替できず

 労働市場データを提供する企業「ライトキャスト」の最近の分析結果によれば、米国では2032年までに労働者が現在よりも600万人も減少する。

 主たる要因は高齢労働者がもはや雇用の伸びを牽引できなくなっていることにある。

 ライトキャストは「2020年以降に引退した500万人のうち、約8割が55歳以上だった」と推計する。

(写真:Immersion Imagery/Shutterstock)

 米国でも2027年に65歳になる数が15歳になる数を初めて上回ると予測されている。このことは生産年齢人口(15~64歳までの人口)が減少に転じることを意味する。

 人手不足を解消する選択肢として人工知能(AI)が注目されているが、ライトキャストは「労働者を最も必要としているのは、AIが人間の従業員に替わる可能性が最も低い産業だ」と懐疑的だ。

 生産者よりも消費者の方が多くなれば、財やサービスの提供が不足し、価格高騰が起きるリスクが現在よりもはるかに高くなるのは間違いないだろう。

 日本ではあまり知られていないが、米国でも高齢化が急速に進んでいる。