高齢化が株式市場に悪影響

 昨年の高齢化率(全人口に占める65歳以上の比率)は17.6%となり、米国も国連が定める「高齢社会(高齢化率が14%以上)」の仲間入りをしている。

 1990年から2010年まで米国の高齢化率は12%強と横ばいだったが、2020年に16.8%と跳ね上がり、その後も上昇傾向が続いている。

 ベビーブーマー(1946年から1964年に生まれた世代)が毎年大量に引退していることに加え、少子化の傾向も見逃せない。

 米疾病対策センター(CDC)は20日「昨年の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に出産する子供の数)は1.62と過去最低だった」と発表した。米国の出生率は1971年から下がり始め、2007年以降は一貫して置換率(現在の人口が均衡した状態を保つための出生率)である2.1を下回っている。

 昨年の出生数も360万人弱で、約340万人だった1979年以来の低い水準だ。

 忍び寄る「少子高齢化」の影は米国経済にどのような影響を与えるのだろうか。

 JPモルガンは「高齢化は株式市場に悪影響を与える」と予測している。高齢化は労働力の成長の鈍化につながるばかりか、イノベーションや生産性向上の足かせになるというのがその根拠だ。高齢者が増えれば、国内の総貯蓄が減少し、長期金利が上昇する可能性があり、株式投資のうまみが減るという負の効果もある。

 米国でも日本と同様、ミリオネア(百万ドル以上の金融資産を保有する者)の高齢化が進んでいることも気になるところだ。1992年時点で57歳だった米国のミリオネアの平均年齢は2022年に61歳に達しており、国民全体の平均年齢よりも速く上昇している*1

*1米国では、ミリオネアが「高齢化」しつつある。この現象がもたらす経済問題とは?(7月9日付、BUSINESS INSIDER)

 Forbesによれば、最新の長者番付に載る人々の3分の1がその富の全額または大半を相続によって手に入れているが、ミリオネアは人生の晩年になってからその富を譲ることが多く、このため、相続人も既に高齢になっていることが一般的だ。

 米国人も高齢者になればさすがに消費意欲が減退する。