新NISAは「必ず儲かる」わけではない(写真:Creativa Images/Shutterstock)

結婚、出産、離婚、子どもの受験、親の介護…。人生100年時代に直面する様々なライフイベントを乗り越えていくために必要なのが「お金」です。ただ、日々の生活に追われていると、いざという時のための「マネープラン」を考えていないケースがほとんどではないでしょうか。今回は、新NISAで投資デビューした30代女性が株式市場の大暴落に直面し、パニック売りをしてしまった事例をお話します。

(高山 一恵:Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー)

(注:相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください)

 今回相談にやってきたのは、メーカーに勤務する30代の独身女性E子さん。今年1月に新NISAが始まったと同時に投資デビューを果たしたそうですが、8月初旬の株式市場の大暴落でパニックになってしまい、これまでコツコツ投資をしてきた資産を全て売ってしまったそうです。

 E子さん曰く、「新NISAで投資をしたら損をすることなんてないと思っていました」とのこと。今回の大損失を受けて、「新NISAの基本や注意点、デメリットをちゃんと勉強したい」と私のところにご相談にきました。

「新NISAはメリットしかない」という誤解

 そもそもE子さんが新NISAで投資デビューをしたきっかけは、周りの友人や会社の同僚の影響でした。

 それまでは、投資にあまり興味がなかったE子さんですが、昨年あたりから友人や同僚の間で投資の話題が頻繁にのぼるようになり、徐々にE子さんも気になり始めたとのこと。

 なかなかお給料が伸びない中で、もっと趣味に使えるお金を増やしたいと思っていたE子さんは、友人や同僚がたびたび口にする「新NISA」が気になり、友人たちから話を聞いたり、自分でも調べたりするようになったそうです。

 友人や同僚からは、新NISAに対するネガティブな発言は一切なく、Xやインスタなどで投資系インフルエンサーの人たちの投稿を見てもメリットしか感じられず、むしろ新NISAを始めないことの方が世間から置いてきぼりになる、そして、新NISAをやれば、絶対にお金がたくさん増えると確信したそうです。

 これまで銀行に毎月積み立てていた資金も全て新NISAで投資することを決意! E子さんは、きちんと勉強しないまま、友人と同じネット証券に新NISAの口座を開設し、友人や同僚、インフルエンサーの人たちがすすめる投資信託で積立投資を始めたそうです。