デメリット④:米国株・米国ETFの配当金への10%課税は非課税にできない
新NISAを利用すると、米国株や米国ETFの利益にかかる国内の税金をゼロにできます。しかし、米国株や米国ETFに投資して得られた配当金には、米国内で10%の税金がかかります。
課税口座(特定口座または一般口座)で投資した場合、配当金にはまず米国で10%の税金が引かれ、残った金額から日本で20.315%の税金が引かれます。しかし、これでは1つの所得に対して2つの国で課税される「二重課税」になってしまいます。そこで、確定申告で「外国税額控除」を申請することで、米国で支払った税金を取り戻せるのです。
一方、新NISAを利用して米国株や米国ETFの配当金を得た場合、日本の20.315%の税金はかかりません。しかし、日本での税金がなくなることで二重課税ではなくなるため、米国での10%の税金は支払う必要がでてきます。
新NISAを利用する際に注意が必要な人とは
以上、新NISAのデメリットを踏まえると、以下に該当する人は、新NISAを利用する際に注意が必要です。
・短期間で利益が欲しい人
・短期間で資産を用意したい人
・6カ月分の生活費を貯めていない人
・損益通算や繰越控除で税金を減らしたい人
新NISAは長期・積立・分散投資でお金を増やすことを目指す制度です。元本割れのリスクをなくすには、基本的に20年以上は投資したいところです。つみたて投資枠でも成長投資枠でも、短期間で利益が欲しい人や短期間で資産を用意したい人には向きません。
また、新NISAを使えば絶対に大丈夫という元本保証はありません。投資でお金を増やすより前に確保したいのは、いざというときの生活費です。生活費に困るくらい余裕資金がないのであれば、生活費を確保するのが優先です。
E子さんも「貯金があまりなかったので、焦って売ってしまったのもあると思います」とのこと。
ある程度、貯金があれば、心に余裕を持つことができ、今回のように慌てて売らなくて済んだかもしれません。
ですから、まず6カ月の生活費を確保することを目標に貯金しましょう。とはいえ、6カ月の生活費が貯まるまで投資をまったくしないと、年単位で時間がかかる人もいるかもしれません。その場合には、生活費が3カ月分貯まったら、月数千円程度の少額で投資をスタートさせ、値動きになれていくのがよいでしょう。
E子さんのように、十分な貯金がないまま、毎月貯金に回せる金額を全て投資に回すのはNGです。
とはいえ、新NISAは生涯にわたって投資の利益にかかる税金がゼロにできるお得な制度。新NISAの制度をよく理解した上で上手に活用していきましょう。