自民党本部に掲げられた、歴代総裁”総出演”の総裁選のポスター(写真:共同通信社)
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自民党の総裁選がいよいよ大詰めを迎えてきた。9人もの候補で争われる今回の総裁選は決選投票にまでもつれるのは必至とされるが、決選の場に残れる2人が誰になるのかはまだ見えてきていない。現在の情勢を元産経新聞記者で現在は永田町でロビイストとして活躍する山本雄史氏と、世論調査や選挙予測も手掛けるJX通信社代表の米重克洋氏が分析した。(JBpress)

石破、高市、小泉の三つ巴

山本雄史氏(以下、山本) 今回の総裁選は異例ずくめです。まず候補者が9人も出るというのが従来なら考えられなかった。自民党には結党時、「八個師団」という言葉がありました。つまり党内には8つの派閥があるという意味です。それが今回は候補者が師団の数を超えたわけで、戦後政治史の中で眺めても画期的な総裁選です。

米重克洋氏(以下、米重) もちろん岸田文雄首相が示した派閥解散の方針の影響ですが、今回の候補者とその推薦人によって新しい派閥が出来上がっているという見方もありますね。

山本 “派閥”という言葉が適当かどうかは別にしてグループが形成される可能性はあります。野党も含め党首選では、その候補と支援する議員の結束力が極めて強固になります。特に推薦人は候補者の連帯保証人みたいなもので、その関係性は密接です。それが9候補に20人ずついるわけですからね。

山本雄史(やまもと・たけし) ロビイスト。1978年、大阪府岸和田市出身。早稲田大学社会科学部卒。産経新聞政治部記者、同社新規事業部門の管理職などを経て、2023年2月にロビー活動専門会社「ヤマモト・ストラテジック・ソリューションズ合同会社」を設立し、上場企業やスタートアップを中心に永田町・霞が関対策、自治体セールスをサポート。法律改正や規制緩和を与野党の有力議員人脈を通じて実現している(写真:小檜山毅彦)
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米重 総裁選の行方を考えるうえでもこの9×20=180の議員票はもうそれぞれの候補にいくことが確定と見ていい。つまり議員票の半分はすでに振り分け先が決まっている。だから今回の総裁選は必然的に党員票の比重が高くなります。そして現時点の世論調査を見ると、党員票は石破茂さん、高市早苗さん、小泉進次郎さんの3人に集中していますね。

山本 この三つ巴の構図が変わることはまずないでしょうね。