長すぎる総裁選期間、多すぎる候補者

山本 今回の総裁選、最初に出馬表明をしたのが小林さんでしたが、それが8月19日。そこをスタートとすれば開票日の9月27日まで39日もあります。総裁選というのはある種、興行的な側面もあります。総裁選が始まれば、“自民党劇場”がマスコミをジャックし話題の中心になる。ところが今回はその興行期間が長すぎる。大相撲の2場所分よりも長い。ちょっと世間にも飽きがきている感じがします。

米重 確かに報道各社の世論調査でも自民党の「総裁選ブースト」がちょっと息切れしている感じがありますね。要因は2つ考えられます。ひとつは兵庫県の斎藤元彦知事の問題。テレビで取り上げると大谷翔平よりも視聴率を取れると言われていて、かなり報道番組や情報番組の尺が斎藤知事に割かれている。

 あとは立憲民主党の代表選の話題が結構露出していることです。おそらく女性候補者も含めて、おなじみの顔触れだけでない代表選を作れたのがよかったのではないでしょうか。

山本 また討論会をみていても、9人も出てくると討論になっていないですね。司会者の質問に順番に回答しているだけで。

米重 確かに集団面接のようですね。かろうじて、数少ない候補者同士のクロストークでのやり取りで、他候補のどこを突こうとしているのか狙いが見える感じがしますが。

山本 他の陣営の動向も見ていきましょうか。

 私が気になるのは小林鷹之さんの陣営です。推薦人の顔触れを見ると旧安倍派の面々が目立ちますが、ただ陣営全体が相当“気持ちが入っている”ように見えます。

小林鷹之氏(写真:共同通信社)
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米重 気持ちが入っているというと?

山本 小林鷹之という人物を担いでいこう、俺たちは小林鷹之の政策に共感しているんだ、とピュアに思っている人たちの熱を感じます。本気で「俺たちの時代を作っていこう」という若手・中堅が集まっている。総裁選後もこの連帯が続いていくのではないかと思います。