(小林偉:放送作家・大学教授)
アイドル+俳優の二刀流
12月6日に飛び込んできた、中山美穂の訃報には驚かれた方も多いと思います。
ご存知の通り、彼女は“ミポリン”という愛称で親しまれ1980年代後半から2000年頃まで、俳優として、歌手として、正に飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍されていました。
俳優としてのデビュー作は1985年1月スタートの『毎度おさわがせします』(TBS系)。
当時としても大胆に、思春期の性欲などを明るいタッチで取り上げたこの作品のヒロイン役で一躍脚光を浴びた彼女は、その僅か半年余り後、今度はアイドル歌手としてデビュー。その曲「C」は初主演ドラマとなった『夏・体験物語』(TBS系)の主題歌に採用され大ヒット。日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞するまでになり、ここから“ミポリン”の快進撃が本格的に始まりました。
彼女の凄いところは、自ら主演するドラマの多くで、自ら歌う曲が主題歌として採用されている点。以下にその一覧を記しますと・・・
年/ドラマ/ 主題歌
1985/『夏・体験物語』(TBS系)/「C」
1986/『な・ま・い・き盛り』(フジテレビ系)/「WAKUWAKUさせて」
1987 /『ママはアイドル!』(TBS系)/「派手!」
1987/『おヒマなら来てよね!』(フジテレビ系)/「CATCH ME」
1987/『若奥さまは腕まくり!』(TBS系)/「人魚姫mermaid」
1990/『すてきな片想い』(フジテレビ系)/「愛してるっていわない!」
1991/『逢いたい時にあなたはいない』(フジテレビ系)/「遠い街のどこかで・・・」
1992/『誰かが彼女を愛してる』(フジテレビ系)/「世界中の誰よりきっと」
1994/『もしも願いが叶うなら』(TBS系)/「ただ泣きたくなるの」
1995/『For You』(フジテレビ系)/「HERO」
1996/『おいしい関係』(フジテレビ系)/「未来へのプレゼント」
・・・以上、11年間にわたり、計11曲。この間に、「NHK紅白歌合戦」にも7年連続(1988~1994年)出場するなど、歌手としても大活躍。同時期に活躍した“アイドル+女性俳優”と比較してみても、小泉今日子(6作・6曲/紅白5回)、南野陽子(3作・4曲/紅白出場なし)ですから、いかに彼女が“二刀流”として活躍していたのかが判ると思います。現在でも、そんな“アイドル+俳優”という女性はたくさんいらっしゃいますが、その両面でここまで存在感を発揮している方は見当たりませんものね!