ライフスタイルに合ったキャンピングカーを選べるように

 このように、市場は8ナンバーのバンコンを中心に、さらに高い価格に高級モデルと、リーズナブルな4ナンバーモデルへの2極化の流れがある。これは、キャンピングカー市場の間口が広がったと解釈するべきだろう。

 もうひとつのトレンドが、ユーザーの多くが、キャンピングカーを使用する場合の「現実解」を踏まえたキャンピングカー選びや利活用をするようになった点が挙げられる。

 70年代頃から何度か、キャンプブームがあり、それと連動して欧米のキャンピングカーを輸入する業者がいたり、自動車メーカーがRV(レクリエーショナル・ヴィークル)というカテゴリーで新車を導入したりした時期があった。

 その後、何度かのキャンプブームによってキャンピングカーが注目され、市場規模が段階的に拡大していった。

日産自動車「キャラバン マイルーム」(写真:筆者撮影)

 直近では、コロナ禍がきっかけとなりユーザーのライフスタイルが多様化したことで、キャンピングカーのバリエーションが増えた。

 見方を変えれば、ユーザーはキャンピングカーを見える目が肥えてきており、必要に応じて買い替えたり、または一度キャンピングカーに購入してみたものの自身のライフスタイルにはマッチしないと分かり早い段階で手放したりする傾向もある。

 キャンピングカーは車両が大きく駐車スペースに制約がかかるほか、どんなキャンプをしたいかによって搭載する居住設備なども異なってくる。4ナンバーモデルで間口が広がったことで、コンパクトで手頃な価格という現実解を求めるキャンパーの需要を着実に満たせるようになってきたと言えそうだ。

 こうして日本でも社会の中で確立したポジションを築いたキャンピングカー。今後の社会の変化に応じた、新たなモデルが登場することを期待したい。

桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。
Wikipedia