1000万円超と数百万円…2極化するキャンピングカー市場

 まず、上級志向のきっかけとなっているのが、自動車メーカーの欧州ステランティスが展開するブランドのひとつフィアットの商用車「デュカド」をベースとしたモデルだ。

 特徴は、エンジン付きの車体をステランティスがキャンピングカー専門製造者に直接販売する点だ。ステランティス側がベース車両に対する性能や耐久性を保証した上で、専門製造者それぞれが個性を活かした車内空間のアレンジができる。

フィアット「デュカド」をベースとした高級キャンピングカー(写真:筆者撮影)

 これまで、こうしたベース車両のB2B(事業者間)事業は日本国内では稀だった。

 デュカドをベースとしたキャンピングカーは1000万〜2000万円という高級モデルとなる。

 ユーザー層としては、これまでバンコンを使っていたが、より広い空間を求めてデュカドにシフトする人。また、これまでキャンピングカー所有経験はないが、デュガド登場の情報をテレビ・ネット・SNSなどで知って関心を持った富裕層などだ。

 一方で、4ナンバーのエントリーモデルで若い世代のユーザーが増えてきている。4ナンバーは、登録車では小型貨物自動車、また軽自動車では貨物自動車を指す。

 ベース車は、トヨタの「ハイエース」「タウンエース」、スズキ「エブリィ」、ダイハツ「ハイゼッドカーゴ」「アトレー」、ホンダ「N-VAN」などだ。

 車内の架装を少なくし価格を抑え、日常づかいも兼用する人が少なくない。

ベース車の比較的少ない架装で仕立てた、トヨタモビリティ神奈川が販売するカスタムキャンピングカー「アルトピアーノシリーズ」(写真:筆者撮影)

 例えば、トヨタ「ノア/ヴォクシー」、日産「セレナ」、トヨタ「アルファード/ ヴェルファイア」などから、ハイエースはタウンエースをベース車としたモデルへの買い替えだ。

 前述のキャラバン マイルームも、これらに含まれるものと考えられる。

 こうした4ナンバーの対象車は、200万〜500万円台強で、バンコンのような一家で複数車所有ではなく、1台所有の場合が多い。

 市場変化を数字でみると、キャンピングカーの国内生産量は、2019年の6445台から右肩上がりで増え続け、2023年には1万90台となった。

 このうち、台数が最も多いのが「8ナンバー・バンコン」で3756台。次に多いのが、3394台の「8ナンバー以外の車中泊車」だ。これが、4ナンバーの比較的価格を抑えたモデルで、2022年の2329台から大幅に増えている。