相思相愛、片思い…会社と社員の関係を表す「4パターン」

 力関係を考えると、会社側の意思で社員を辞めさせられる解雇はできる限り制限した方がよいはずです。しかしながら、会社側の立場に立つと解雇が必要な場面があることも見えてきます。

 社員側が会社にいたいか否かを縦軸、会社側がその社員を必要としているか否かを横軸として分類すると、会社と社員の関係性は別掲の図のように、大きく4パターンあります。

 会社が社員を必要としていて、社員も会社にいたいと思っているパターンは「相思相愛」です。この場合、会社と社員の関係性は円満なので問題は生じません。一方、会社は社員を必要としているのに、社員の方は会社にいたいと思っていない場合は「会社の片思い」。会社はより良い条件を提示するなど、社員をつなぎとめる工夫をすることになります。

 それに対し、会社は社員を必要としていないのに社員は会社にいたいと思っているのは「社員の片思い」です。会社としては早期退職制度などを実施して社員が自主的に辞めてくれることを願いますが、社員は残りたいので自分からは退職しません。

 会社は社員を必要としておらず、社員も会社にいたくないと思っている場合は「反目」の関係です。社員も会社にいたくありませんから、会社が早期退職制度などを実施すれば割増退職金をもらって自主的に辞める人も出てきます。

 会社から見て、経済合理性の観点から解雇が必要になるのは「社員の片思い」と「反目」のパターンです。社員の片思いの場合、社員の能力が生かせる仕事を見つけられなければ、会社は不要なコストを抱えることになります。反目の関係の場合、社員が自ら辞める可能性はあるものの、転職できる見込みが立たなければ辞めることはありません。