この20年で大幅に増えていたA群溶血性レンサ球菌感染症

 見ての通り24年の発生が最も多く、コロナの20~22年は発生が激減している。それ以前の傾向としては年々増える傾向が見られる。このグラフだと14年は比較的発生が少なく見えるが、さらに10年さかのぼってみると、発生の状況が変わって見える。

A群溶血性レンサ球菌感染症の週ごとの医療機関1施設当たりの発生件数。2014年~24年(出典:国立感染症研究所)A群溶血性レンサ球菌感染症の週ごとの医療機関1施設当たりの発生件数。2014年~24年(出典:国立感染症研究所)
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 その10年をさかのぼったグラフが次のグラフだ。2004年から2014年の発生が週ごとにプロットされている。

A群溶血性レンサ球菌感染症の週ごとの医療機関1施設当たりの発生件数。2004年~14年(出典:国立感染症研究所)A群溶血性レンサ球菌感染症の週ごとの医療機関1施設当たりの発生件数。2004年~14年(出典:国立感染症研究所)
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 すると、2014年も冬場を中心に10年間で最高の流行だったことが分かる。前の図では2014年は大したことないように見えるが、実は、当時も感染急増と認識されていたのである。継続的に増加傾向にあったわけだ。

 これ以前の統計を見ても同様に年々増加している。A群溶血性レンサ球菌を手軽に診断できる検査キットの普及は関係しているが、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は外見から重い症状になることから、劇症型の急増は検査キットの普及だけでは説明することは難しいと考えられる。

 これはいったいなぜなのか。日本の状況を見ているだけでは、その理由は見えてこない。