2024年流行の致死率は何%?

 まずは異例の流行となっている2024年のデータをおさらいしよう。

 国立感染症研究所では6月までに国に届けられたケースに基づいて、年齢別の感染者数と死亡者数を公表している。以下の24年第24週(6月20日)までの期間の年代別の感染者や死亡者をまとめた図を見てほしい。青い棒が感染者数を示し、オレンジの棒が死亡者数を示している。一番上が80代以上で、一番下が10歳未満という形で年代別に発生件数が示されている。

2024年第24週までの劇症型溶血性レンサ球菌感染症の年代別の感染者数と死亡者数(出典:国立感染症研究所)2024年第24週までの劇症型溶血性レンサ球菌感染症の年代別の感染者数と死亡者数(出典:国立感染症研究所)

 この間の感染者は1060人で、死亡者は149人となった。

 30代から感染者が増え始め、70代が最も多い。死亡者も60代以降から多くなっているが、感染症での死亡が一般的には少ない20代以降の若年層でも死亡者が発生していることは、この感染症の怖さと言えるかもしれない。

 人食いバクテリアは、致死率が3割という報道もあるが、日本の状況では致死率は14%と計算できる。ただし、このデータには、届出後に亡くなった人は含まれていないため、2024年の致死率は「最低でも14%」と考えるべきだろう。

 最初期の新型コロナ感染症の致死率を統計から確認すると、80代以上で約8%だった。それと比べるとかなり致死率が高いと分かる。

 海外の研究によると、約7割が何らかの基礎疾患を抱えていると報告されている。その内訳として最も一般的なのは糖尿病で約4割、続いて心疾患が3割弱、肥満が2割強。一方で、全体の約3割は特にほかの病気を抱えていないと見られる。比較的健康な状態の人でも発症するため事前に予防することが難しい、厄介な感染症だ。

 また、感染症は体の内部の筋膜を侵すので、傷がきっかけになることも多いが、必ずしも傷がなくても発生することがある。例えば飛沫感染で喉に細菌がついて喉が腫れ、風邪が悪化していくような形で劇症型になるという可能性もある。

 発生メカニズムはいまだに謎に包まれているのはこの病気の不気味なところだ。誰が感染し、どこで感染するのかが見えづらいからだ。

 最大の特徴と言えるのは、原因となる細菌がごくありふれた細菌であるところだろう。