2010年代から増加し始めた理由

劇症型溶血性レンサ球菌感染症の月ごとの発生件数(出典:国立感染症研究所)

劇症型溶血性レンサ球菌感染症の月ごとの発生件数(出典:国立感染症研究所)

 グラフを見ると、1カ月に50件を超えるなど2018年、2019年と発生が増えていることが分かる。それが2020年~22年にかけてコロナ禍でいったん減少し、10~20件を推移するなど感染は落ち着いたかに見えた。

 ところが、2023年秋から異常な増加を見せるようになった。

 上のグラフでは2018年頃は少なく見えるが、さらに時をさかのぼると実は2018年ですら発生が多かった。前述のように2000年代前半には年間50件程度だった発生数が徐々に増加していたのである。

 背景の一つとして指摘されるのが、主要な原因細菌であるA群溶血性レンサ球菌感染症の増加である。

 次ページのグラフは、2014年から2024年までの毎年の週ごとのA群溶血性レンサ球菌の1カ所の医療機関あたりの発生数をプロットしたものだ。2024年は第34週までが記録されている。