今後ではエムポックスのワクチン接種が始まったが、感染は徐々に拡大している(写真:AP/アフロ)コンゴ民主共和国ではエムポックスのワクチン接種が始まったが、感染は徐々に拡大している(写真:AP/アフロ)

(星良孝:ステラ・メディックス代表/獣医師/ジャーナリスト)

 ドイツで初めての強毒型のエムポックス(旧サル痘)に感染した人物が確認された。ドイツのロベルトコッホ研究所が10月22日に発表したもので、18日に確認されたと報告している。まだドイツでの詳細は分からないが、アフリカ外での感染はスウェーデンとタイに続く3カ国目となった。

 もともとアフリカで流行していたエムポックスだが、クレード2というタイプが世界に広がっている。一方、アフリカでは強毒型のクレード1bというタイプの感染者が急増しており、アフリカ外での感染が懸念されている。現時点では、アフリカ外への広がりは見られないが、アフリカでは鎮火どころか勢いが増すような状況にある。

コンゴ民主共和国では昨年比5倍の感染者数

 アフリカのエムポックスの発生はとどまるところを知らない。

 2024年の第40週に新たに確認された感染者は3051例、死亡者は50例に達している。2024年では、これまでに4万2438例の感染者、1100例の死者が報告されている。

 ほとんどがアフリカ中央部で、コンゴ民主共和国が中心になっている。もともとコンゴ民主共和国ではエムポックスがまん延していたが、2023年と比べると5倍近い感染者数である。

アフリカでのエムポックスの感染者数。上から中央、東部、西部、南部、北部。左から疑い例、確定例、死亡、国の数を示している。(出典:アフリカCDC)アフリカでのエムポックスの感染者数。上から中央、東部、西部、南部、北部。左から疑い例、確定例、死亡、国の数を示している。(出典:アフリカCDC)

 さらに、アフリカでは、感染が初めて確認されたという国がじわじわと増えている。