感染の中心では3人に1人が性感染

 この急増の背景にあるのが、強毒型の1bという新たなタイプの出現であることは、これまでの記事で伝えている。

エムポックス急拡大の背景に「強毒型1b」と「売買春」、ゲイからヘテロに感染が広がり始めた意味(JBpress)
野放図なセックスが最大のリスク、世界最大の“性地”でエムポックス1bが確認された衝撃(JBpress)

 強毒型は、コンゴ民主共和国の内陸部にある北キヴ州と南キヴ州と呼ばれる地域で発生したと考えられている。このたびアフリカCDCによって、キヴ周辺の発生の詳細が明らかになった。

 同地域は長く紛争の被害が続いており、外務省の危険レベル4で、退避勧告が出ている。

 この地域で目立っているのが、国内避難民(Internally Displaced Persons:IDP)と呼ばれる人々だ。そこでエムポックスの集団発生が確認されており、その内訳が報告されている。

コンゴ民主共和国東部のキヴ周辺の感染者の発生状況(出典:アフリカCDC)コンゴ民主共和国東部のキヴ周辺の感染者の発生状況(出典:アフリカCDC)
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 697人のデータで、検査でエムポックスが確認されたのは333例だ。

 死亡者は2例。55%が男性となっている。感染者は大部分が20~40歳。エムポックスは子どもの感染が多いとされていたが、キヴでは成人の感染症になっている。

 特筆すべきは33.7%が性感染症であること。57例はセックスワーカーだった。全体の1割近くが売買春の当事者であり、性感染症が多いのは、そうした背景が関係していると考えられる。

 これらはJBpressで論文での報告に基づいて報じているが、改めて地元の公的研究所により確認されたと言える。アフリカCDCは、これらの地域は手を洗う水も不足するなど衛生状態が悪く、感染拡大が起こりやすいと問題を指摘している。