「ベビーX」実験とは?

 教科書11章では、ベビーX実験が紹介されている。被験者を生後3か月の赤ちゃんに対面させて、その様子を観察するという1970年代に行われた実験だ。

 部屋には人形やボールなどの玩具が置いてあり、被験者によって、赤ちゃんの性別が紹介される場合とされない場合がある。

 結果は、女児と聞かされるか男児と聞かされるかで、赤ちゃんへの声かけやチョイスした遊び道具が、まったく異なっていたというもの。私たちは、性別という情報だけで、他者とのコミュニケーションを変えてしまいがちだ。

 このような状況をふまえると、学校において呼称の区別をなくしたり、名簿を男女混合にしたりすることは、ささいなことのように思えるかもしれないが、ジェンダー・バイアスを減らしていく第一歩になるだろう。

 なお、教科書では触れられていたものの、京大の授業では登場しなかったトピックとして、性的マイノリティの困難がある。本授業と同じコンセプトで開講された東大での授業では、このトピックについても意見が交わされていた。『東大生、教育格差を学ぶ』で紹介されているので、ぜひ手に取っていただきたい。

『東大生、教育格差を学ぶ』(光文社新書)東大生、教育格差を学ぶ』(光文社新書)

(第6回につづく)