米国の政党が持つ個人主義とアマチュア志向とは?

 連邦制の米国では州ごとに法律も異なりますが、外交における連邦政府の力は強大です。共和党と民主党の二大政党制であることはご存知の通り。4年ごとの大統領選挙で2つの政党が交代する可能性を作ることで、「政策の偏りや権力の集中を避ける」というのが、二党制の大まかな特徴です。

 2つの政党にはそれぞれの特徴があります。そして、他国の政党と比較して「米国の政党」自体にも特徴があります。批判を恐れずにあえて言えば、それは個人主義とアマチュア志向です。なぜ個人主義でアマチュア志向なのか、米国建国当初の政党の成り立ちから見ていきましょう。

「もっと信仰に忠実に、正しいプロテスタントとして生きたい」

 16世紀の英国で、こんなことを言い出したのはピューリタン(清教徒)たち。「なに青臭いこと言ってるんだよ。こっちが伝統ある正しい信仰だよ」と英国国教会から抑圧された彼らは、「自分たちの自由な国をつくる!」と、新天地を目指しました。これが言わずと知れた米国建国の始まりです。イギリスとの独立戦争を経てようやく建国の運びとなったとき、すぐに政党もできたかといえばさにあらず。

「我々は皆、ピューリタンとしての理想を求める自由な国を全員で目指している。ちまちまグループに分かれて徒党を組むなどけしからん!」

 カトリックはローマ教皇を頂点とする“教会経由”で神とつながりますが、プロテスタントは個人が聖書に基づく信仰を通じて“神と直通”というのが特徴です。英国国教会もプロテスタントですが、ピューリタンは言ってみれば“ゴリゴリのプロテスタント”。したがって米国は、それぞれが独立した信者という個人主義が強いのです。

 基本的に米国で政治家を目指す人は「個人として自分の考えを政治に反映させよう」というタイプ。個人主義で自由が大好きな考え方のピューリタンに、政党という“グループ活動”はある意味そぐわなかった面があると私は考えます。

 しかし全員がバラバラのまま理想に燃えていても、いや、燃えていればいるほど、収拾がつかなくなるのはよくある話。

 合衆国憲法が制定されて以来「大統領選挙は4年に一度」というのは変わりませんが、無所属なのは初代大統領ジョージ・ワシントンだけです。その後は「連邦政府の役割を重視する連邦党」「州の自治を重んじる民主共和党」などができていきます。