「主人は東京への出張帰りでした。もう戻って来ないのですね。とても淋しいです。でも生存者がいたことに救われた気持ちです。よく生きておられたと」

「どんなに恐ろしかったことか……。最後は諦めたんでしょうかね」

「安全神話なんて信じられない。もう飛行機には乗りたくないね」

自分たちの父親の名前が刻まれたモニュメントに指を添える兄弟(写真:橋本 昇)
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亡くなった人は戻らない、分かってはいるが…

 夕方から一周忌の慰霊式が麓の上野村で行われたが、ここでも、ずらっと並んで深々と頭を垂れる日本航空の経営陣に向けられた遺族たちの視線は厳しかった。

参列する遺族に深々と頭を下げる日航経営陣(写真:橋本 昇)
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 突然家族の命が奪われたという現実は簡単に乗り越えられるものではない。しかもその原因は、ボーイング社による圧力隔壁の修理ミスと、それによって生じた金属疲労による亀裂を点検で発見できなかったという人為的なものだった。どれだけ詫びて頭を下げられても、納得できる話ではない。怒号も飛んだ。