だが、怒りをぶつけても亡くなった命は戻らない。そんな交錯する感情が遺族たちの視線の奥に感じられた。

参列したボーイング社の社長に問いただす。なぜ事故が起きたのですか?責任はあなた方です(写真:橋本 昇)
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今年もまた8月12日がやってくる

 この事故で亡くなった520名は当時のままの面影で御巣鷹の尾根に眠っている。昨年の慰霊登山で話を聞いた77歳の女性は言った。

「あの時のことは、夢の中の出来事のようで、はっきりとは思い出せないのよ。ただ夢中で息子の手を握って山を登ったことだけは覚えているのだけど」

 彼女は今年も息子と御巣鷹の尾根に登り、優しい夫のあの時の面影に話しかけるのだろう。

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