ご成婚パレードで手を振る雅子妃殿下(筆者撮影)
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(フォトグラファー:橋本 昇)

ご成婚パレードに合わせるように上がった雨

 1993年6月9日、梅雨空の皇居前通りは多くの人々で埋め尽くされていた。現在の天皇・皇后両陛下のご成婚の日。これからご成婚パレードが始まるのだ。皆、心配そうに空を見上げていた。朝からの雨は止みそうにない。

 取材ポイントには我々に混じって海外から派遣されたカメラマンも大勢いた。海外メディアの日本の皇室への関心は高い。当時の皇太子浩宮殿下とキャリア官僚雅子さんのご成婚は海外メディアのトップニュースだった。

 そもそも日本は海外の人間にとって昔も今も一度は訪れてみたい憧れの国だ。

 というわけで、ご成婚取材でやって来たカメラマンたちもテンションが上がっていた。

 そして待つこと2時間。皇宮警察に先導されたロイヤルカップルのオープンカーが坂下門方向から進んできた。何とそれまでの雨も上がり、あたりには薄日も差している。

「どうかお二人がこちらを向いてくださるように」と念じながらピントを合わせる。緊張の一瞬――。残念‼ 皇太子殿下が向こうに手を振られ、雅子妃だけがフレームに収まった。

 その瞬間、私の隣にいたカメラマンがバランスを崩して脚立から転がり落ちた。