冤罪被害者たちを支える家族たち。袴田巌死刑囚の姉・秀子さん(左から2番目)の姿もあった。無罪を勝ち取った免田栄さん(右から3番目)もいる(写真:橋本 昇)
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(フォトグラファー:橋本 昇)

 去る3月13日、「袴田事件」の再審請求が認められた。

 1966年6月に静岡県清水市で味噌製造会社の専務宅が放火され、焼け跡から一家4人の殺害された遺体が見つかった強盗殺人・放火事件だ。2カ月後に従業員の袴田巌さん(当時30歳)が犯人とされ逮捕された。ちなみに袴田さんは元プロボクサーだった。

 袴田さんは自白により起訴され、公判では無実を訴えたが1980年に死刑が確定した。

 当初から捜査に疑問を持った人々によって再審請求が起こされたのは1981年のことだ。ボクシング関係者にも支援の輪が広がっていった。しかし、一度確定した判決を覆すのは容易なことではない。証拠集めなどの粘り強い努力と相当の時間を要するのだ。

家族にとっても終わりの見えぬ闘い

 この事件も、証拠捏造などの疑惑が認められ静岡地裁で再審開始が決定されたのは2014年、実に事件から48年後のことだった。だが、そこからまだ再審への道のりは遠かった。

 続く東京高裁で再審開始決定は取り消された。そして決定は最高裁に持ち込まれ、最高裁から東京高裁への差し戻しを経てようやく今回の再審開始確定という結果につながったのだ。

 実に事件から半世紀以上、死刑判決から40年以上という長い闘いだった。