- 7月31日、国土交通省はトヨタ自動車への立入検査などによって、新たな認証不正が判明したと発表し、同社に対して初の是正命令を出した。
- 国交省は「意図的な不正があった」と認定。他方トヨタは「意図的ではない」と改めて主張した。
- なぜ、主張が食い違うのか。
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
トヨタ自動車による、新たな認証不正が明るみに出た。しかも、トヨタの内部調査では未確認だった事案が、国土交通省のトヨタへの立入検査などによって発覚した。トヨタにとって由々しき事態である。
ここでいう認証不正とは、自動車メーカーなどがクルマを大量生産する際、車両の保安基準などについて1台ずつ検査を行うことを緩和する「型式指定」の申請に関するものだ。
では、なぜトヨタ内部調査と国交省の立入検査の結果が食い違ったのか? 焦点となっているのが、不正が「意図的」かどうかだ。
その本質を考える上で、まずは事実確認をしておきたい。
国交省は7月31日、トヨタの不正事案に対して6月4日以降に行った立入検査などの結果を踏まえて、次の3点を対応するとした、
1つ目は、立入検査の結果の公表だ。
トヨタは7月5日、社内調査の結果、7車種(クラウン、アイシス、カローラアクシオ、カローラフィールダー、シエンタ、レクサスRX、ヤリスクロス)で不正があったと国交省に報告した。これについて、国交省が不正を認定した。
このうち、2車種についてはトヨタから正しく事実関係が報告されていなかった。
問題なのは、トヨタ社内調査では「もうない」としてきた不正が、「まだあった」ことだ。
国交省の立入検査によって、社内調査結果の7車種に加えて、さらに7車種(プリウス、レクサスRX、RAV4、カムリ、ノア・ヴォクシー、ハリアー、レクサスLM)で8事案の不正が認定されたのだ。
各事案の詳細については、国交省およびトヨタのホームページを参照いただきたい。
立入調査などは過去10年間の車種まで遡って実施されている。そのため、すでに生産中止となっている車種も含まれるほか、海外で認証を取得した事案もある。そのため国交省は該当する各事案について海外当局に通知した。
2つ目は、是正命令の発出だ。