金融市場を取り巻く環境の変化で分散投資が求められる時代に(写真:tadamichi/Shutterstock.com)
(平山 賢一:麗澤大学経済学部教授/東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト)
株価上昇で警戒感の低下も
米国とイスラエルがイランを攻撃し、原油輸送の要衝として知られるホルムズ海峡が事実上、封鎖された。混迷を深める世界情勢に金融市場は動揺している。
もともと2026年は、米国の中間選挙を控え、政治・経済の両面で不確実性が意識されやすい年であった。金価格の変動率上昇、日本の超長期国債利回りの振れ幅拡大などを見ても、金融環境は平時とはやや異なる表情を帯びていた。個々の材料を過度に結びつけることは適切ではないにせよ、市場参加者が慎重さを保つべき局面であることは確かだろう。
他方で、イラン情勢の影響を受けてはいるが、主要国の株式市場はなお高値圏を維持している。資産価格の上昇は、機関投資家のみならず個人投資家の含み益を押し上げ、結果としてリスク許容度を高める方向に働いている。
リスク許容度とは、価格変動や一時的な損失をどの程度受け入れられるかという尺度であり、本来は年齢や所得、保有資産の規模によって異なる。ただし、それは固定的なものではなく、経済環境や市場心理に応じて変化する。
将来の見通しが描きやすく、楽観的な雰囲気が支配的な時期には高まりやすく、逆に不透明感が強まれば低下する。足元では先行きの不確実性が語られつつも、株価上昇が長期化していることが資産効果を通じて警戒感を和らげている面も否定できない。
株価指数の堅調さの裏側で、他の金融資産の変動性は高まり、資産間の関係性も変化している。集中投資の有効性を支えてきた前提条件が、静かに揺らいでいる可能性がある点も見逃すべきではないだろう。以下では、財政や長期金利、外国為替レート、株式市場間の相関の観点から整理してみたい。
