米国株の好調さに支えられてきたポートフォリオをどう変えるか

 第四に、日本株と米国株の関係にも変化がみられる。

 円建てでみた米国株価指数(為替変動を含めた日本からの投資成果)と日本株価指数の相関が、ここ数カ月低下している。2008年の金融危機以降、両者は高い順相関を保ってきたが、その結びつきがやや弱まっている。

 過去を振り返れば、2000年代初頭のITバブル崩壊期には、両市場の連動性が薄れた局面もあった。両者は、常に高い相関が維持されるわけではないのである。

 米国株の好調さに支えられてきたポートフォリオも、相関構造が変化すればリスクの姿を変える。円建て資産での分散投資を意識するのであれば、日本株を組み入れることでポートフォリオ全体の変動を平準化するという選択肢も考えられるだろう。

 株価指数が高値を更新する局面では、リスクは見えにくくなる。一方で、財政や金利の位置づけ、通貨と株価の関係、株式市場の相関といった「市場の関係性」は、静かに組み替わりつつある可能性がある。

 分散投資とは、単に資産を増やす手段ではなく、関係性の変化に備える知恵といってよいであろう。それだけに市場環境が、複数の力が絡み合う時代へと移るなかで、改めて分散の意味を問い直すことが、今求められているのかもしれない。

平山 賢一(ひらやま・けんいち) 麗澤大学経済学部教授/東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト
1966年生まれ。資産運用会社を経て、1997年東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)に入社。2001年東京海上アセットマネジメントに転籍、チーフファンドマネジャー、執行役員運用本部長(最高投資責任者)を歴任。2025年からは経済史研究を軸足に現代の金融市場を分析。メディア出演のほか、レポート・著書などを多数執筆。主著に『戦前・戦時期の金融市場 1940年代化する国債・株式マーケット』(日本経済新聞出版)、『金利の歴史』(中央経済社)、『物価の歴史』(中央経済社)などがある。

著者の近著『金利の歴史』(中央経済社)