金利が上昇すると投資や資産運用の前提は変化する(写真:VRVIRUS/Shutterstock.com)
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(平山 賢一:麗澤大学経済学部教授/東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト)

「金利のある世界」、資産運用における景色は一変

 2024年3月にマイナス金利が解除され、わが国も「金利のある世界」に戻って2回目の年末を迎えようとしている。この間、政策金利であるコールレートは、0.50%水準までの上昇にとどまるが(2025年11月現在)、償還までの期間が長い超長期国債利回り(30年)は、3%を上回っている。

 超長期国債利回りの上昇には、金利正常化に伴う需給の変化に加え、契約者への保険金支払余力を維持するために政府が2025年度から生命保険会社に課した新たな規制も影響している。このため、一部の保険会社が超長期国債の購入を控えたことも背景にある。

 指標となる長期国債利回り(10年)は1.7%程度に過ぎないが、資産運用における景色が一変しているのは、誰もが受け入れるようになっていると言えよう。

 この変化により、超長期国債利回りに魅力を感じ始める一部投資家もいる。図にあるように、2003年以降の20年間でみても、30年国債利回りはいまや異次元金融緩和期を含めた全期間の中で最高水準に達している。

 わが国の財政状態を懸念する声もあり、日本国債への投資に尻込みする向きもあるが、国内の投資対象に限れば、徴税権のある日本政府の信用度が最も高いのは言うまでもない。

 金利変動リスクはあるものの信用リスクが極端に低い投資対象の利回り水準が3%を上回ってきたという事実の意味は大きい。しかもインフレ率も2%台が定着してきているだけに(消費者物価指数・全国・対前年比)、金融資産の実質価値を減じないための投資手段として注目される位置づけにあると言えよう。