政府債務の対GDP比率が下がっても長期金利が安定するとは限らない

 第一に、主要国の政府債務は拡張基調を続け、特にコロナ禍以降は顕著になっている。

 経済規模の大きい米国や中国でも、財政政策への依存が強まり、政府債務の対GDP比率は上昇傾向にある。債務残高の増加は直ちに信用不安を意味するものではないが、将来の財政運営に対する市場参加者や信用格付機関からの慎重な視線を強め、長期金利に上昇圧力を及ぼしやすい。

 政策金利が抑制的に運営されても、イールドカーブがスティープ化(短期金利と長期金利の差が拡大)する局面がみられるのはその一例と言ってもよいだろう。

 日本の場合、日本銀行による国債保有の比率が高いという偏りがある一方、名目GDP成長率の上昇を背景に債務の対GDP比率はピークを越えつつあるとみられている。

 これを前向きに評価する向きもあるが、歴史を振り返れば、インフレ率が想定以上に上昇しただけであれば(実質成長を伴わなければ)、債務比率の低下が直ちに長期金利の安定を保証するとは限らない。

 たとえば、英国では第二次世界大戦後に債務比率が低下していったものの、タイムラグを伴って長期金利上昇に直面している。日本も含め政府債務の増大化は、危機を迎えたときの財政発動の桎梏(しっこく=手かせ足かせ)になるため注意が必要なのは言うまでもない。

 第二に、金融政策の面でも、主要国間の足並みは必ずしも揃っていない。

 コロナ禍までは同調的な緩和が目立ったが、足元では米国や中国が政策金利を引き下げ方向にある一方、日本は引き上げ局面にある。

 日本では特に超長期金利の変動が大きく、需給構造の影響がイールドカーブに色濃く反映されはじめていることも課題であろう。2026年1月の超長期国債利回りの急上昇は、市場参加者にとっても約35年ぶりのサプライズであった。