「強い米企業」と「強いドル」の関係にも変化が
米国では政策金利が低下しても長期金利は大きくは下がらず、結果として長短金利差が拡大している。株式の益回り(1株当たり利益を株価で除した指標)と比較した場合、長期国債利回りの相対的な魅力度が高止まりしていることになる。
言い換えれば、金利が低下しても株式の割安感を大きく押し上げる構図にはなっていない。イールドカーブの形状変化が株式の評価に与える影響は、これまでとは異なる様相を示し始めているということだ。
第三に、米ドルについては、基軸通貨としての地位に変化が生じているとの議論がある。
基軸通貨の本質は国際決済における中心的役割にあり、その変化は一般に緩やかである。それでも注目すべきは、米国株が堅調に推移する一方で、米ドルの実質実効レートが頭打ちの動きを示している点である。
2010年代には米国株価指数と米ドルの実質実効為替レートが概ね同方向に動いてきたが、その関係に調整の兆しがみられる。
米株価指数S&P500においては、市場を牽引する巨大テック企業群であるマグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)が時価総額の35%強を占め、市場構造自体は依然として集中度が高い。このところ長期にわたり米国株式は、少数の大型企業が市場を先導していくという構図が続いているのである。
しかし、米国株式の堅調さに対し、米ドルの実質実効為替レートが横ばい、頭打ちになっている。それは十数年続いた金融市場の関係が再調整される可能性を示唆しているのかもしれない。米株式市場の内部というよりも、外部環境との関係に変化の兆しが見えるわけである。