- 大規模な認証不正を受けてダイハツ工業は4月8日、今後の事業方針を説明した。
- 親会社トヨタ自動車向け小型車のOEM(相手先ブランドでの生産)供給をやめ、トヨタが開発から認証までの責任を持ち、ダイハツは委託を受ける形とする。
- だが、品質不正の根本原因は「軽」業界の過剰な競争にある。中長期的に再発を防止するには業界再編しかない。(JBpress)
(井上 久男:ジャーナリスト)
ダイハツ工業は井上雅宏社長ら経営首脳が8日、記者会見し、今後の事業の方向性について発表した。開発プロセスにおいて法規で定められた試験を行わないなど大規模な認証不正が発覚したダイハツは現在、再発防止策や企業風土の改革に取り組んでいる。記者会見では、親会社トヨタ自動車との関係性も含めて、ダイハツの事業形態を今後どのようにしていくのかについて説明があった。
大きく変える部分は、ダイハツは現在、トヨタの新興国小型車カンパニー(ECC)内に位置付けられ、東南アジアなど新興国向け小型車はダイハツが開発し、トヨタにOEM(相手先ブランドでの生産)供給していたのを改め、順次トヨタからの委託開発に切り替える点だ。
OEMでは、開発から法規に適合させる認証業務までをダイハツが責任をもって対応する形をとっていたが、委託形式だと、トヨタが開発から認証までに責任を持つ形になる。同様に国内市場向けのトヨタの小型SUV「ライズ」などもダイハツからのOEMだったのを順次委託開発に切り替える。これに合わせてECCは解消する。
OEMから委託開発に切り替える理由について、ダイハツの会見後に記者団の取材に応じたトヨタの中嶋裕樹副社長(開発担当)はこう説明した。
「国ごとに法規が変わり、それに合わせて認証作業も変わる。トヨタにはその対応に長けた人材もいるので、トヨタが責任をもって受け持つ体制に変える」
国ごとに法規の内容が変わることに加え、現地語で書かれた法規を翻訳する作業も必要になる。さらに法規を開発車種ごとに適合させるため、膨大な作業となるが、世界各地でクルマを開発、生産、販売しているトヨタには、その対応に慣れた人材が多いため、そうした部分をすべてトヨタが対応するということだ。
ただ、トヨタの小型車の開発をダイハツが担うという分担は変更しない。そもそもダイハツがECC内に組み込まれたのは、ダイハツが軽自動車で培ってきたコスト対応力などのノウハウを、原価が高いトヨタの小型車に採り入れ、市場競争力を持たせることにあったからだ。このダイハツの強みをトヨタが活用するという考え方は変えない。